かつて山のなかに多く建てられたお寺の名残が、いままで続いているといえるでしょう。ただし、山門は、一方では「三門」とも書きます。これは「三つの門」という単純な意味ではなく、「三解脱門(さんげだつもん)」の略です。三解脱門とは、悟りへとつながる三つの瞑想を指します。
その三つの瞑想とは、
- 空解脱門(あらゆるものは実体をもたない、と心のなかで思い続ける)
- 無相解脱門(あらゆるものは実体をもたないのだから、特徴をもつこともない、と心のなかで思い続ける)
- 無願解脱門(あらゆるものは実体をもたないし、特徴もないから、わたしたちの欲求に値するようなものは何もない、と心のなかで思い続ける)
です。つまり、お寺の門(三門)をくぐることによって、悟りの境地に達するという意味があるのです。